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2004.04.23

高濃度清酒「サンロック」

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 先日、アルコール分36度という高濃度清酒「サンロック」を飲んだ。「サンロック」は昭和43年ごろ静岡県由比町の英君酒造で考案され、翌昭和44年に結成の「日本サンロックネット」に加盟した日本酒の蔵元数社から発売されている。「サンロック 酒」でググってみると、「誠鏡まぼろし」の中尾醸造(広島県)にも発売の記録がある。ちなみに小生、篠田次郎先生の著書「吟醸酒の光と影」技法堂出版(2001年)でその存在を知り、2年越しで巡りあった次第である。

 英君酒造の専務(英さん)に確認したところ、「20年以上も前に終売となっており、当方にも在庫はありません。」とのことで、私の手元に流れてきた「サンロック」は流通在庫(長期不良在庫?)らしい。それにしても、松永さんはこんな酒をどこで見つけてくるのだろう。自店の倉庫で20年以上寝ていたのか?まさしく静岡酒のワンダーランドの名にふさわしい!?

 さて、気になるのは「サンロック」の製法だ。日本酒(清酒)は世界中の醸造酒でもアルコール度数の高さは随一とされているが、それでも純米酒であれば20度程度が限界だ。どうやって36度ものアルコール度数を実現するのか? 英さんの説明を聞こう。

『ご存知のように、蒸留酒であるウイスキーと同等のアルコール度数を、醸造酒である日本酒が出す事は不可能です。
 またアル添して度数を高めようにも、消防法の基準ではアルコールを40度以下で貯蔵しなければなりません。蔵にアルコールが入荷する時は99%ですが、貯蔵と同時に加水して40度以下にしなければならないのです。
 これでは幾らアル添しても40度近いアルコール度数を出すのはやはり不可能です。そこで社長が苦慮の末、出した結論は

「アルコール入荷と上槽時期を合わせ、直接99%の原アルコールをもろみに添加して36度の清酒を造る」

という事でした。確かにこれなら消防法に違反しません。(今は定かではないですが)
 こんな破天荒な製法を考えつく社長も社長ですが、当時としては記録的なヒット商品となり、売れたというから大らかな時代であったと思います。』

 20年以上経った「サンロック」、グラスに注いだときはその色(褐色)に皆さん一斉に腰が引けていたが(笑)、すぐに甘い香りがただよいはじめ、「これはカルーアかい? ミルク入れてみたら?(爆)」のツッコミで緊張感がほぐれ飲むことに。くどくない甘さと高アルコールがマッチして、シェリー酒のような紹興酒のような蜂蜜系のリキュールのような‥‥ いわゆる「甘露のような味わい」で、お酒の個性という点では稀に見る存在感を示す日本酒だった。

 以下は飲まれた皆さんの感想。(当日は、他にも古酒あり新酒ありの宴会でした)

『非常に面白く感じました。』

『やはり驚きは「サンロック」あれで日本酒!? 途中酔っ払ってあれをごくごく飲みそうになる自分をあわてて止めておりました。ごくごく飲んだら死んでしまう(笑)』

『他の方も仰ってましたが寝酒には最高なのかもしれません。(中略) 帰った後、嫁が「いつもはに日本酒のにおいするのに今日はカクテルみたいなにおいするのは何故?」と言ってました 笑』

 本館サイト http://www.dd.iij4u.or.jp/~kshimz/  E-Mail: kshimz@dd.iij4u.or.jp

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