続・歴史は繰り返す
『 朝は暗いうちからたたき起こされ、まず壁に向かって立って両腕を眼の高さにあげたまま不動の姿勢をとらされる。看視兵がその腕の上げ方が悪いと言って棍棒で殴る。そのまま数時間。朝食はレーションの缶詰野菜をスプーンに一杯、ゆでたまご半分、ベーコンの小指大ひと切れ、レモン水をコップに一杯で、主食はなし。朝食が終わるとまたも両腕を眼の高さにあげさせ、昼食時まで続行させる。
(中略)
夜は目の前二十センチくらいのところにある二百ワットの電球を注視させ、両腕は顎の前方に重ね合わせて不動の姿勢をとる。看視兵はその間をぶらぶらとまわって気が向くと、天井を仰がせたうえ、みぞおちを棍棒ではげしく突いたり頭や背をたたいたりする。毎夜、失神するものが続出し、恐怖と疲労のために発狂するものも出た。ようやく就寝が許されるのは午後十時ごろであった。
(中略)
体験者の報告の中には、
「収容者の義歯金冠を強要し、強奪した」
「収容者に強要して収容者の口中に陰茎を挿入し、射精した」
「手淫を強要し、拒否すると殴る蹴るで失神させた」
など、まさに想像を絶するものもある。ありとあらゆる方法を考え出し、収容者たちをいじめ抜いたと言ってよい。 』
以上は、第二次世界大戦終了後に、米軍管理下の収容所内でBC級戦犯容疑者が受けた虐待の様相を 岩川隆「孤島の土となるとも」講談社 から引用(pp.121-122)したものだ。
BC級戦犯裁判では日本軍関係者が戦時中に行った不法行為が裁かれた。その行為の多くは、捕虜や住民に対する虐待・虐殺であった。そのBC級戦犯容疑者に対する連合国軍の不法行為にも、上記のような凄惨なものが多数あったことが判明している。
ところで、7月23日に共同通信が配信した「米兵による虐待事件94件 イラクとアフガンで」というニュースによると、「米陸軍は虐待事件に関する報告書の全容を近く公表する方針」だそうだ。既に「(5/3)イラク人拘留者を犬で威嚇――米紙、虐待の詳細報道」「(5/1)全裸のイラク人虐待写真、米CBSが放映」などの報道もあるように、報告される虐待の様相は、第二次世界大戦後の戦犯容疑者の収容所と大差ないだろう。
やはり、歴史は繰り返すのである。そして、今回も、勝者の不法行為は不問に付されるのだろうか?
本館サイト: http://www.dd.iij4u.or.jp/~kshimz/ E-Mail: kshimz@dd.iij4u.or.jp
| 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)
最近のコメント