西尾幹二氏と文筆家の責任
「西尾幹二のインターネット日録」というブログがある。ここ数日、「ソースロンダリング疑惑」の渦中にあるが、ここではその当否は問わない。問題は、そこに公開された文章に対する責任の所在、つまり「ブログの文責はどうなっているんだ?」である。
もともと、西尾氏は原稿を紙に書くだけで、テキストの打ち込み(タイピング)以降の作業はブログの管理者グループがやっていることは周知の事実だった。そこに、今回の騒動で校訂・校閲作業のズサンさまでが明らかになった。それは、gori 氏のブログ「Irregular Expression」の 2004年8月24日の記事「衝撃!西尾幹二氏の「空白の10分論」に官邸筋から忠告?!」のコメント欄に書き込まれた、「年上の長谷川」というハンドルでの書き込みを拾い読みするだけで浮き彫りになる。
西尾氏のブログの管理者である「年上の長谷川」氏は、こう書き込まれている。
=====(引用その1 ここから)=====
さて、「空白の十分間」のソースについて
私のタイプミスにより「情報通」を抜かしていることに、こちらを読んで気がつきました。
思い込みでタイプしてはいけないと、反省しております。気がつかせてくださいまして、ありがとうございました。なお、一つ目の引用は全文掲げさせていただきました。
実はこうした理由は、「西尾日録」は結構お年よりもみておられて、そのほうが親切ではないかと思ったからなのです。そしてまた、いかに私共のサイトからの引用が多いかを目で量的に示すためにも、それが良いのではないかと考えたからです。
以上、ご報告たします。
6537 : 年上の長谷川 : August 24, 2004 06:11 PM
=====(引用その1 ここまで)=====
(上記のオリジナルは http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000351.html#6537)
=====(引用その2 ここから)=====
(前略)今まで約三年間、「西尾日録」をタイピングしてまいりました。その間、何度も私のタイピングミスによる誤字脱字を修正してきております。出来るだけ、修正日時は入れておりますが、誤字脱字の箇所をわざわざ明記することはしてきておりませんので、いままでどおりの修正の仕方をしましたこと、ご理解くださいませ。
6558 : 年上の長谷川 : August 24, 2004 08:59 PM
=====(引用その2 ここまで)=====
(上記のオリジナルは http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000351.html#6558)
=====(引用その3 ここから)=====
>6539さん
いえ、16:01に当箇所を修正しました。
ここへはその報告に16:11に書き込み報告しました。皆様のご助言に従い、付記しました。
(後略)
6574 : 年上の長谷川 : August 24, 2004 11:58 PM
=====(引用その3 ここまで)=====
(上記のオリジナルは http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000351.html#6574)
=====(引用その4 ここから)=====
=====(引用その4 ここまで)=====
(前略)本当だ!
(拉致問題)という文言が抜けていたのを修正した時間でした。
やれやれ正確ではありませんが、明日時間を記入しておきます。
(夜になると、ライブドアーはとても混雑していて編集ができないのです)6576 : 年上の長谷川 : August 25, 2004 12:27 AM
(上記のオリジナルは http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000351.html#6576)
その結果、「西尾幹二のインターネット日録」の「緊急公告 (三)」の末尾は以下のようになった。(引用は 2004年8月26日18時10分に行った ← こう書いておかないと不安だというのも問題だが。 笑)
=====(引用その5 ここから)=====
=====(引用その5 ここまで)=====
(本文はすべて略)・・・・・・・・・・・・・・
*管理人注
タイピングミスによる修正を行いました。
西尾先生ならびに、関係の皆様にご迷惑をおかけし、申し訳ございませんでした。「空白の十分間」の情報源は外務省と官邸である。
↓
「空白の十分間」の情報源は外務省事情通と官邸事情通である。(8/24 18:00頃 脱字修正)
(8/24 23:12 8/25 9:00 付記ならびに付記追加))
つまり、こういうことだ。
西尾氏は「西尾幹二のインターネット日録」の内容につき、公開前の最終的なチェックをしていない。著者としてワールドワイドに晒される文章だというのに、その取扱いはザルのようにルーズだ。結局、デジタル・デバイドされちゃった側の西尾氏はタイムリーに最終稿を校閲できず、論争上の重要な箇所に管理者のタイプミスや改変が入ったままの文章を、「西尾幹二のインターネット日録」として公開してきた。
さらに、公開後に修正が施された場合、これまでは修正箇所を明記してこなかった。活字の出版物と違い、ブログ(を含むWeb一般)で公開した文書は公開後に何事もなかったかのように修正が可能である。そうであるが故に、論争になった文書であれば論点を改竄したと非難されぬよう、修正箇所と修正内容がわかるようにしておくのがネットでのマナーなのだが、西尾氏も管理人氏もそれを理解していなかった。
冒頭にも書いたが、もう一度書く。「西尾幹二のインターネット日録」の文責はどうなっているのだ? 西尾氏は文筆家である以上、文章表現への責任(*1)を取るべきだし、そのためにまず、必要な責任(*2)を果たすべきではないか?
(*1)公開された文章により生じた事態に関し損失や制裁を引き受けること
(*2)自分の名前で公開される文章に対し推敲や校閲などを的確に行うこと
今後も、今回明らかになった文章の品質が確保できない体制が続くのであれば、コメント欄を閉鎖するよりもむしろ、ブログそのものを閉鎖すべきだ。それが文章で勝負する、まっとうな文筆家の態度ではないだろうか。
このような生ぬるい態度で、よく、福田恆存歿後10年記念の講演を引き受けられるものだ、と小一時間ばかり‥‥(以下自粛) 今後、西尾氏に福田恆存を語らせるのだけはやめてほしいものである。
【補足】
本件、まっとうな出版社には必ず存在するプロの編集者魂(エディターシップ)が、「西尾幹二のインターネット日録」の管理者グループにはなかった、という話でもある。この数ヶ月の記事から発せられる電波から鑑みて、西尾氏の言論の品質は良質な編集者魂なくしては維持できないのではないか、と思う。ここはやはり、インターネットから身を引いたほうが、世のため、人のため、ご本人のためにもいいのではないか。
本館サイト: http://www.dd.iij4u.or.jp/~kshimz/ E-Mail: kshimz@dd.iij4u.or.jp
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コメント
>デジタル・デバイドされちゃった側の西尾氏
「電気通信大学教授」の肩書きが泣くネ。
投稿: haruhico | 2004.08.31 10:39 午後
おぉ、haruhico さん、こちらにも足跡ありがとうございます。(クイズもよろしく~♪)
ま、西尾先生は教養部の語学・哲学担当だったそうですから、そこらへんは突っ込まないようにしましょう。事実は事実として受け止めて、やはり言論人・文筆家としての有り様を検討するのが筋だと思います。
投稿: kshimz | 2004.09.01 12:30 午前