基本的な発想が違う‥‥
『対テロ戦、「カネの心配無用」=兵士向けに電子決済端末-米』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060825-00000046-jij-int
“米陸軍と基地間の経理業務を大幅に減らせるほか、危険な現金輸送の回数を減らすことができ、米軍兵士の安全性向上につながるという。”
こういう発想はいかにも米軍らしい。
昔から米軍では、「兵士もまた主権者(または主権者の家族)である、よって最大限の安全保護や利便性の確保が必要」という意識が高い。第二次世界大戦でも「暖かい食事が提供できる」よう兵站線の確保に留意し、輜重部隊が行き着けない地域に部隊を進出させるような作戦は最大限避けていた。
翻って、いったん占領した場所は何があっても「死守」、という命令が連発されていた旧軍とは雲泥の差だと思う。輜重を考えない作戦指導を連発し、その結果、日本軍の太平洋戦争の死者(=中国戦線を除く死者)の過半が餓死・栄養失調に起因する病死という惨禍をもたらしたのだが‥‥
靖國に眠る英霊の約半数は、戦死に非ずして戦病死されたのである。これを考えると、日本人の私としても、やっぱり参謀総長としての東條英機、ビルマ方面軍司令官としての木村兵太郎、陸軍省と参謀本部の要職を歴任した梅津美治郎と武藤章の合祀はマズいような気もする。ま、神道の理論からすると、いっぺん合祀した御霊を外すのも難しいのであるが‥‥
閑話休題。
彼我の人命を大切にする思想の差異は、航空機の設計・戦車の設計・軍隊輸送船の設計‥‥ といたるところに発現している。航空機や戦車は有名なので、比較的知られていない軍隊輸送船について書いておく。
米軍では原則的に兵員を輸送するのは客船に準じる設計の専用の軍隊輸送船か、客船を徴用して改造した軍隊輸送船で、スシ詰めとはいえ1人1人独立した簡易ベッドが用意され、食堂等の設備も整っていた。ところが日本軍では、ほとんどが貨物船の船倉に畳やゴザをしいただけの大部屋に、1人あたり1畳に満たない割合で押し込まれていた。食堂等もほとんどなく、甲板か船倉で取るしかなく、まさしく人間が貨物、消耗品の扱いだった。
このへんの旧弊は、自衛隊では改善されていると信じたい。
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