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2007.02.17

「増醸酒」の研究(その1)

 平成18年5月1日の 酒税法 改正 により、三倍増醸酒は清酒とは見なされなくなり、法的には「増醸酒」というカテゴリ(定義)も消えたことになっている。しかし、世間一般でいうところの「いわゆる増醸酒」は、「法令上の増醸酒」とは微妙に異なる。まずは世間で通用している概念のほうを最大公約数的に定義しておこう。

いわゆる増醸酒
 米・米こうじの他に、原料用アルコール(醸造アルコール)、糖類、酸類、調味料などを原料とする清酒。

 次に、平成18年5月1日の酒税法の改正により廃止された、「法令上の増醸酒」はどんなものであったか確認しておこう。

法令上の増醸酒
 米・米こうじの他に、澱粉、原料用アルコール(醸造アルコール)、ぶどう糖、水あめ、コハク酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルタミン酸ナトリウム、清酒を原料とする清酒。ただし、澱粉、原料用アルコール等の合計使用重量は、こうじ米を含む米の重量を超えない。また、原料用アルコールの数量は、各仕込みに使用する白米1,000kgにつき2,400リットル(アルコール分30%換算、純アルコールに換算すれば 720リットル)である。

 このレシピによれば、同じ量の米・米こうじから生成される酒の量が、米・米こうじ以外の原料を使わずに製造する場合の約3倍に増えるので、「三倍増醸酒」略して「三増酒」という通称が生まれたのである。なお、米・米こうじ以外の原料を、「副原料」と呼ぶことがあり、この記事でもそれを踏襲する。

 では、国税庁鑑定企画官室が作成した、「平成16酒造年度における清酒の製造状況等について(本文図表)」に沿って、法改正前の増醸酒のデータを精査してみよう。

 まず、平成16酒造年度に増醸酒を製造した酒造場は 554場あり、これは稼動中の全酒造場(1,424場)の約39%を占める。そして、白米1t(1,000kg)あたりの副原料の使用量(全国平均)は、それぞれ

 純アルコール 719.6 リットル ⇒ 618.2kg(重量換算)
 ぶどう糖    43.6kg
 水あめ    301.4kg
 乳酸      1.4kg
 こはく酸    1.4kg
 くえん酸    0.16kg
 りんご酸    0.20kg
 グルタミン酸ソーダ 0.02kg

となっている。合計して 966.38kg となり、旧酒税法の「澱粉、原料用アルコール等の合計使用重量は、こうじ米を含む米の重量を超えない」を守っている。監督官庁の公表する統計だから、当たり前といえば当たり前なのだが。

 最終的に製造された増醸酒は、実数 79,259キロリットル、うち純アルコールが 18,145キロリットル、このうち添加された原料用アルコールが 11,757キロリットルであるから、米・米こうじの醗酵により生成された純アルコールは 6,388キロリットルとなる。増醸比率を計算すると

 18,145 ÷ 6,388 ≒ 2.84

となる。平成16酒造年度の増醸酒は、全国平均で 2.84倍増醸酒であった、といえる。(その2へ続く)

 本館サイト: http://www.dd.iij4u.or.jp/~kshimz/  E-Mail: kshimz@dd.iij4u.or.jp

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2007.02.10

Jawbone(その2)

 一週間の充電期間が経ち、いよいよテストラン。実際にはそんなに充電に時間が掛かるワケはなく(笑)、マニュアルによればフル充電まで2時間だそうな。さて、製品紹介サイトのデモ(Flashのムービー)のようにノイズがスパッと遮断されるのか否か‥‥ デモは、こちらに。

 http://jawbone.com/meet.html

 手元でのテストには、Skype の通話音声テストを使ってみた。通話相手がいなくても自分の側の音声デバイスの動作状況が確認できるので、非常に重宝するサービスだと思う。

 最初のテストは、3~4m向こうで同僚が大声で会話中という職場の環境だ。同僚のほうを向いて、Jawbone のマイクが同僚の声を拾うようにして使ってみた。
 まずはノイズキャンセラを無効にしてみる。これは普通のマイクと変わらず、ザワザワウォンウォンと雑音が入る。同僚の声が上がれば、その声もそれなりに拾ってくれる。これまで使ってきた Plantronics の Voyager 510 よりノイズを拾うようだ(当たり前だ)。向きを変えて試しても変わらない。Jawbone のマイク部分に刻まれたスリットの形状からしても、マイクそのものは無指向性のようだ。
 次に、ノイズキャンセラを有効にすると‥‥ ほとんど無音、というか、オフィスのいろんな機器の出す騒音、周囲のキーボード音、ザワザワする人の声、といった雑音がほぼ気にならないレベルになった。この時点で、Voyager 510 よりもノイズキャンセラが強力だと確信した。ただし、音質は若干“角が落ちた”感じになる。雑音と認識した信号と一緒に削り落とされたのだろう。それでも、しゃべっている声から話者を判別するには全然問題がないレベルだ。

 次のテストは、鼻先 50cm ほどのところにCDプレーヤーを置いて、通常の音量(うるさくも聞き辛くもない程度)で鳴らした状態だ。ちなみに、CDの内容は中国語会話の教材(笑) 居酒屋や喫茶店の、向かい合わせの席でカップルがしゃべっている、という程度の状況をエミュレートしたつもり。さて、そちらを向けて通話テストだ。
 ノイズキャンセラ無効の状態では、かなり聞き辛い。自分がしゃべった内容なので、記憶が残っているからなんとか判るのかな、というレベルで、CDの音声がガンガン入ってくる。
 いっぽう、ノイズキャンセラ有効の状態では、上述のデモほどにはクリアにはならないが、自分の話している内容が問題なく聞き分けられるレベル。TVやラジオのニュース番組で流される、かなりウルサイ街頭でのインタビューなみ、というところか。

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 ところで、マニュアルによれば、ノイズを軽減させるキモは、写真の左下にある白い突起を頬骨に接触させること、とある。この突起が、発声に伴う頬骨の振動を拾うセンサーで、その振動とマイクから入ってくる音を DSP で処理することにより、Jawbone の装着者の音声だけをピックアップする、という仕組みだそうな。まさに骨伝導技術だっ!
 そこで、耳かけの部分を調節したり、発声時に Jawbone を手で押して頬に圧着させたり、と試行錯誤してみた。
 手で強く圧着させるとノイズは確かに減るが、その一方で圧に応じて音量が上下したりエコーのような揺らぎが発声する。やはり耳かけを調整して、頬骨の適切な位置に適度な圧を持って触れさせるのがヨサゲだ。

 ここで、Voyager 510 のユーザには大事なことを書いておく。

 Plantronics の Voyager 510 は、マルチポイントテクノロジーにより、ペアリングできる接続先を2つ登録することができる。しかし、Jawbone は1つだけの模様。PC(プリンストンテクノロジーの Bluetooth Ver.2 対応アダプタ、PTM-UBT2 経由)と携帯電話(au W44T)とで交互に使うと、携帯電話のほうは毎回ペアリングからやり直しが必要だった。
 ただし、PCのほうは、交互に使ってもペアリング不要でいきなり繋がる。このへんの動作が正しいのかどうかがよく判らん‥‥ 他の Bluetooth アダプタでも試してみるべきか? なお、PCではヘッドセットプロファイル(HSP)、携帯電話ではハンズフリープロファイル(HFP)で登録されている。

 だいたいの効能は理解したので、Jawbone を装着して職場内を歩き回りながら、Skype でいろいろと試してみた。そこで判明した Jawbone のノイズキャンセラの特徴を以下に列挙しておこう。(通話の相手にはいい迷惑だったかも)

・得意なノイズ

 音量があまり上下しないノイズには非常に強い。かなり大きな騒音でも、レベルが一定であれば、Jawbone のノイズキャンセラは相当に有効だ。常にゴーゴーと音を立てているサーバラックの換気ファンの横で話をしても、相手にはさほど気にならないらしい。たしかに、メーカーのデモでは、電動草刈機とエアー排出型の落葉掃除機の横・走行中の車の中、という状況を使っていたが、あの手のノイズには強い。

・苦手なノイズ

 逆に、突発的に発生するノイズ、音量が急激に上下するノイズには弱い。前方にいる人が奇声をあげたり、目の前で物を落としたり、といった際の音はかなり拾っているようだ。

・独特なノイズ

 Jawbone の骨伝導技術が裏目に出るノイズがある。話している最中にドスドスと足踏みしたり、肘を机にブチ当てたり、といわゆる「骨に響く」アクションをすると、テキメンに雑音と化す。自分には音を立てている自覚がないのに、相手にはかなり気になる音が伝わるようだ。椅子に座ってつま先でトントンっ、と床を叩くような動きをするだけで、相手から「なんかドスドスという音がしてるぞ」と指摘が入る。

・その他

 首を回したり、アゴをガクガクさせると、風切り音のようなノイズやガタガタ音が乗る。変わったアクションをすると、骨の動きに起因する、いろんなノイズが乗りそうだ。身体のどこをどう動かすと笑えるノイズが出るのか、研究してみると面白そう(笑)

 (Jawbone のネタは、これで終わり)

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2007.02.03

Jawbone(その1)

 Jawbone は、強力なノイズキャンセリング能力を持つヘッドセットだ。骨伝導センサーとDSPを使って、マイクに入ってくる音からヘッドセット装着者の音声だけをピックアップし、戦場の騒音下でも確実に通話を成立させる‥‥ という米国防総省が開発した技術を採用している。製品名のJawbone(顎の骨)もそこから取られている。

Jawbone

 ケーブルで接続する製品は、国内でもすでに チャットボイス社 から販売されているが、昨年末に Bluetooth を採用したコードレス版が米国で発売された。当初は米国の携帯電話端末(Singular社向け)とのバンドル販売だけであったが、1月下旬から Webサイト で直販が開始され、米国外へのシッピングも始まった。

 以前から注目していたので、早速、コードレスのほうをオーダーしてみた。1月27日の昼過ぎに注文して2月2日の午後に到着したが、27日は土曜日(現地では金曜日の深夜)なので、実際に受注が処理されたのは1月29日の月曜日だった模様(インボイスの作成日付も、01/29/2007)。

 手元に届くまでの費用は以下の通りだった。

 Jawbone 119.99ドル
 運送費  49.95ドル(UPS)
 消費税  600円

通関した2月1日のレートで計算すると(120.72円/1ドル)、合計 21,115円になる。Bluetooth なヘッドセットとして見ると、ちょっと高い。(余談だが、消費税額から鑑みて、わが国の税務当局はいまだに1ドル=100円で計算しているらしい。どういうタイミングで換算率を見直すのだろう?)

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 上は到着したときの荷姿。大きさは後方にある Thinkpad T43 のディスプレイから想像して欲しい。茶色の厚紙の箱を開けると、エアクッションに挟まれた白い紙箱が出てくる。

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 たぶん、店頭で売られるときはこのパッケージなのだろう。その白箱を開けると、また緩衝材質の袋に入った透明のアクリル樹脂ケースが現れる。

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 アクリルケースの下側3/5ほどは黒い紙箱に挿入されている。なかなかおシャレ。たぶん、このままディスプレイするように考えられているのだろう。携帯電話(au W44T)で撮った写真なので判り難くて恐縮だが、黒い紙箱の部分にはエンボス加工で“NOISE IS NOTHING”のキャッチコピーが入っている。

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 パッケージの裏側からも撮ってみた。簡単な商品説明が書かれている。

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 スカート部分(黒い紙箱)を取り去った姿。全体が透明のアクリル樹脂ケースの下部には、電源ユニットの紙箱とイアパッド&イアループの紙箱が入っている。基本的にモノトーンのデザインだ。ここから内容物を確認していこう。

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 本体は Red・Black・Silver の3色から選択できる。私は Silver を注文した。ウェブサイトではもっと明るい銀色にも見えるが、実物はややガンメタリックに近い感じだ。

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 交換用イアパッドとイアループ(耳かけ)。イアループは左右の耳用が大小2個ずつで合計4個、イアパッドは4つのサイズで5個が付属している。本体には、イアループが右耳用の小サイズ、イアパッドは最小サイズ(写真の左端のものと同一のサイズ)が装着されていた。つまり、最小サイズのイアパッドだけ、2個付属していた。紙箱には4(Earbuds)+4(Earloops)と印刷されているが、これは種類の数を表記したものらしい。

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 電源ユニット。100~240V対応のACアダプタとUSB充電ケーブルが同梱されている。ACアダプタのプラグはA型(日本の標準プラグ)で、出力部は USBのAタイプ(メス)形状になっている。

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 電源コンセントから充電する場合、コンセントにACアダプタを差し込んで、ACアダプタにUSB充電ケーブルを接続する。この組み合わせは予想外だったが、考えてみれば非常に便利だ。携帯電話や携帯音楽プレーヤー用のUSB充電ケーブルもこのACアダプタに接続できるので、荷物が多い海外出張では重宝しそうだ。

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 PC(Let's Note CF-R4)のUSBポートから充電しているところ。充電中はLEDが赤く光り、充電が完了するとLEDの色は白に変わる。

 充電が完了したら、いよいよ使ってみよう。(その2へ続く)


【追記】 on Sat, 03 Feb 2007 13:00 +0900(JST)

Compare

 「しもけんの空間」というブログの記事 に「でも現物は結構大きそう。」とあったので、比較写真なんぞを。左上が PLANTRONICS社の Voyager 510・右上が Jawbone・左下が au の W44T・右下が東芝の Bluetooth Mouse IPCZ079B です。それほど大きくはないです。ロジテックのLBT-HS100C2などのヘッドセットのほうが、はるかにデカい‥‥

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