« 2010年11月 | トップページ | 2011年12月 »

2011.03.18

前言撤回。物資の提供をお願いします。

物資提供のお願い

 被災地では、防寒着・医薬品を筆頭に、いますぐ必要な物資が不足しています。物資の提供をお願いします。

 これに関し、ジャーナリストの佐々木俊尚さんが、「今回の震災では、阪神大震災のルールを適用すべきではない。」と発言しています。

 阪神大震災では、兵庫県や神戸市、芦屋市といった各自治体の機能は生きていた。したがって政府と日本赤十字社からの物資や義援金は、自治体経由で被災地に送り込むことができた。この結果、阪神大震災の教訓として「物資ではなく義援金で」「救援は赤十字社に一本化」という考え方が広く定着した。

 ところが、今回の震災では救援の受け皿となる自治体そのものが各地で消滅している。この結果、赤十字や自衛隊や消防隊の救援は、全体をカバー仕切れていない。どこかの避難所に集団で避難している人たちが、誰からも発見されず、水も食糧も燃料も電気も電話もなにもなく、完全に孤立してしまっているという酷い状況が生まれてしまっているのだ。  だから今回の震災では、阪神大震災のルールを適用すべきではない。


 詳しくは佐々木俊尚さんの公式サイトにある「被災地に救援物資を! いま私たちに求められていること」を参照ください。

 同様の動きを示すものとして、阪神大震災の被災地である兵庫県も、新品または新古品の防寒着に限定して、物資供出のお願いを出しています。詳しくは「県民の皆さまから、防寒着のご支援を募集いたします。 」:http://web.pref.hyogo.lg.jp/ac20/ac20_000000136.html#h03 を参照ください。


東京都でも救援物資を受け付けています

 ただし、「原則として、救援物資の受付は、東京都内の方からのものに限らせていただきます。」とのことです。

 詳細は、「東北地方太平洋沖地震に係る東京都内からの救援物資を受け付けます」:http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/03/20l3hd00.htm を参照してください。3月18日時点では、赤ちゃん用品・高齢者用品・生活用品・飲料水 の4品目に限定です。(食料品、衣料品については、受け付けていません)


送る前に考えよう。「分ければ物資、混ぜればゴミ」

 物資を送る際に、絶対に注意しなければならないことがあります。被災地で仕分けをさせないこと、です。送り出す側で同じ種類の品物を、一定数量まとめて箱詰めして、現地では箱をあけたら機械的に配れるようにすること。そういう仕組みが必要です。衣料品であれば、男女の別、サイズの別、さらに色柄など。このへん「分ければ資源、混ぜればゴミ」の標語は同じです。

 そのため、たとえば兵庫県では、防寒着の仕分けをするボランティアを募集しています(「防寒着仕分けを行っていただくボランティアを募集します。」:http://web.pref.hyogo.lg.jp/ac20/ac20_000000136.html#h02 を参照)。


救援物資を送付するには

 被災地に近づくほど道路事情が悪くなり、燃料も不足がちです。遠距離まで少量ずつ運ぶのは非効率です。最寄の自治体で物資提供を受け付けていれば、そこに持ち込むのが一番です。とにかく、各段階で、可能な限り多く集めて、仕分けしてから、送り出すという配慮をお願いします。

下記の団体(日本ユニバーサルデザイン研究機構)は、

  「本日(3月19日)、予想を大きく上回る救援物資が届き、東京の倉庫がいっぱいとなり、受付窓口を変更させていただくことになりました。次の受付窓口が決まるまで、物資の「持ち込み」ならびに「当方への送付」は一旦停止させていただいております。」 (本日までにご送付・お持ち込みいただいた物資を迅速に被災地へ届けるための措置です。どうぞご理解いただきますようお願いします。)
 

とアナウンスしています。物資を送りたい方は、収集してくれる自治体・団体の最新情報を確認しましょう。

 お住まいの自治体で募集をしていなければ、日本ユニバーサルデザイン研究機構が音頭を取って、必要な物資の収集と運送を行っています。必要な物資の種類や送り先は、日本ユニバーサルデザイン研究機構の 「被災地への救援物資を送付したい方へ 」のページを参照ください。

| | トラックバック (1)

2011.03.17

【原発事故】 スリーマイル以上チェルノブイリ未満

私の基本的なスタンスは「緊急時・人の生命がかかっている場合には、煽りを抑える方向の言論をこころがける」ですが、状況を簡単にまとめるために好都合な記事を引用します。

福島原発事故はレベル6の可能性、スリーマイル島とチェルノブイリの中間=仏当局

[パリ 15日 ロイター〕 フランスの原子力安全当局(ASN)は15日、福島第1原子力発電所での事故について、国際基準で定められているレベル7までの分類のうち、レベル6に該当する可能性があるとの見解を明らかにした。

 当局は14日、レベル5もしくは6の可能性があるとしていた。

 ASNのラコスト局長は会見で「昨日から状況は変わっている。米スリーマイル島原発事故とチェルノブイリ原発事故の間のレベル6であることは明らかだ」と指摘した。

http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPnJT886205620110315


私は専門家ではない無知な文系人間ですが、この報道に対する自分の理解は以下のとおりです。

福島第一原発では、配管部やバルブ(弁)等を含めた格納容器のシステム全体で 4気圧強の圧力に耐えるように設計され完成検査もしてますが、実際にはその2~3倍に耐えるよう作られてます。なので、おおむね8~10気圧を超えると配管や弁やそれらの接合部が内圧に耐えられなくなって、放射性物質を含む蒸気漏れが起こります。あるいは、格納容器の損傷を防ぐため、定期的に弁を開けて蒸気を放散させる必要があります。

この状態になったのが、スリーマイル島事故です。米欧の専門家は、福島原発のこの状態が、スリーマイル島事故よりも長期化する、と予測/懸念しています。上に引用した記事は、おおむねその見解に沿ったものです。

原子炉格納容器、およびその内部にある、核燃料を収納した圧力容器そのものは、もっと高い気圧に耐えられます。これを爆発で吹っ飛ばしたのがチェルノブイリ事故でした。こちらは、原子炉が制御不能になり核反応を停止できず、暴走して温度上昇(格納容器の強度低下)・圧力急増⇒爆発して、核燃料を含む放射性物質が広範囲へ飛散する、という事態になりました。 強引な比喩を使えば、「原爆が爆発して、そのエネルギーで燃え残りの核燃料を広範囲にぶちまけた」、というのがチェルノブイリ事故です。スリーマイル島事故とは桁違いの惨事でした。

今回、福島第一原発がチェルノブイリと同様の事故に至るまでは、時間的余裕はあります。というか、とりあえず核反応の停止まではうまくいって、発生エネルギーは桁違いに下がっているため、すでにチェルノブイリ級の事故はありえないと思ってます。とはいえ、この先、冷却がうまくいかないと、「スチームボイラーが爆発して、燃え残りの核燃料を近隣に飛散させる」、というレベルの事故になる可能性はあります。

これが「スリーマイル以上チェルノブイリ未満」というタイトルの由来です。

だから、国民を安心させるために早く冷却材を米国でも中国でもどこでもいいから取寄せて、突っ込んで、「冷却できた、と国民に知らしめる」、というパフォーマンスが必須だと思います。


以下に参考になる情報へのリンクを貼っておきます。

・原発に関するQ&Aまとめ+
 http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=956

・BBCが報じたらしい、英国政府の評価
 http://www.telljp.com/index.php?/en/news_article/bccj_members_update_on_japans_nuclear_power_station_situation/

 ⇒ 下にある、池田信夫氏のブログで日本語訳が読めます。

・大前研一氏の解説「福島第一原発で何が起きているのか―米スリーマイル島原発事故より状況は悪い」
 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110315/263842/

・池田信夫氏(経済評論家)のブログ
 「おなかがいたくなった原発くん」
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51689181.html

 「イギリス政府による福島原発事故の影響評価」
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51688876.html

 「デマにご注意」
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51688820.html


※ 内容に鑑みて、コメント不可にしています。反論等はトラックバックにてお願いします。
  事実誤認に対するご指摘は、メールでお願いします。内容を吟味したうえで反映させていただきます。

| | トラックバック (1)

2011.03.14

同情するなら金をくれ、もとい、金送れ

※ このエントリは、東北関東大震災の実情にそぐわなくなったため、訂正します。(2011年3月17日)
  ぜひ、3月18日の記事 「前言撤回。物資の提供をお願いします。」 を参照ください。


同情するなら金をくれ、もとい、金送れ。」 これは災害時の真理です。

 避難所や救援本部に中古不用品を送るのは迷惑です。偽善にすらなりません。むしろ、二次災害です。

 阪神大震災のとき、被災地周辺の物資集積所で一番困ったのが、これでした。雑多な物資を送りつけられても、内容を確認して仕分けしてからでないと、被災者には配れません。衣料品であれば、サイズや色柄ごとに分別してはじめて、配ることができるのです。つまり、中古不用品を送られても、仕分けの人手と場所も取られるだけ。正直なところ、物資配布活動の足手まとい・邪魔にしかなりません。

 物資を送るなら、同じものの新品をトラック1車分以上にしましょう。新品でも、少ないと分配に困ります。最低でも、1つの避難所全員に行き渡る数量(数百個)だと考えてください。

 個人でできることは、献金・献血が一番です。赤十字等を利用しましょう。

・日本赤十字社 トップページ: http://www.jrc.or.jp
・日本赤十字社の「東北関東大震災義援金を受け付けます」: http://www.jrc.or.jp/contribution/l3/Vcms3_00002069.html
・Google にある募金情報のまとめ: http://sites.google.com/site/quake20110311jp/bokin

<追記>

 献血で採取した血液の有効期限は21日間で、これは厳密に守られているそうです。やみくもに急いで献血するよりも、赤十字社からの呼びかけがあったら応じる、くらいでいいかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2010年11月 | トップページ | 2011年12月 »